● い
石生目 (いしぎめ)
いしの節理、石の肌理。
石切り (いしきり)
石山から石材を切りとること。また石材に加工すること。さらにそれを業とする人。
石切り場 (いしきりば)
石材を採る現場。採石場。露天掘り、坑内掘り、転石採りなどがある。
石工 (いしく)
石大工。石匠。大別して石彫工、石積工、石採工の三種があるが、現在は主に石彫工をいう。
石地蔵 (いしじぞう)
石造りの地蔵菩薩像。釈迦から人間救済の委嘱を受けているとされ、右手に錫杖、左手に宝珠を持つ立像が多い。子安地蔵、子育地蔵、トゲ抜き地蔵など。
石畳 (いしだたみ)
板石を敷きつめた道路や通路。方形貼り、乱貼りなどで施工する。
石積み (いしづみ)
石を積み重ねて石垣、石壁を築くこと。
石灯籠 (いしどうろう)
石造りの灯籠。本来、神社仏閣の献灯を目的としていたが、桃山時代に茶人が庭園に導入した。形は多種だが、大別すると奈良系、京都系、その変形の三種がある。
石庭 (いしにわ)
石を主体にした庭。組み石、景石などをあしらい、砂利、砂、苔などを添える場合もある。
石貼り (いじばり)
石を躯体、下地に貼りつける作業。
石目(いしめ)
岩石の節理。つまり岩石の内層に入っている自然な裂け目のこと。すべての石は石目をもっており、この方向で割れやすい。採石の際、石目の流れを知ることが非常に重要とされる。
石割り (いしわり)
石を割る作業。矢穴を穿り、豆矢、きき矢、とび矢などを差し込み、玄能で打ち、石を二つに割る。
出雲灯篭 (いずもどうろう)
島根県松江市付近から産出する褐色の砂岩(出雲砂岩、来待石)で造る灯籠。緻密で細かい細工ができる。
板石 (いたいし)
板状に割った石。挽き材、へげ石の類は通常板石とはいわない。
板碑 (いたび)
日本の塔婆の一種で、板状の石を使っている塔婆という意味。
一石五輪塔 (いっせきごりんとう)
高さ30~40センチ位の一石造りの五輪塔。一般庶民や無縁仏の供養に造られたが、庭園にも用いられている。
一ぱい彫り (いっぱいぼり)
文字の幅と深さを同じ寸法に彫ること。
稲妻目地 (いなづまめじ)
乱屋積みの石垣で、縦目地が稲妻型に連続したもの。不良な積み方の一つ。
芋目地 (いもめじ)
縦目地の上下が連続した目地。四つ目ともいう。
石組 (いわぐみ)
日本庭園で石を組み合わせること。古くは石をたたむ、立石などといった。この位置、役目により三尊石組、護岸石組などと呼ばれる。
● う
浮き彫り (うきぼり)
文字、彫像、文様の周囲を彫り下げて浮き出させる技法。
請け花 (うけばな)
石灯籠、仏塔、仏像台座などに極楽浄土の蓮華花弁を上向きに描いた彫刻。←→反り花
馬目地 (うまめじ)
二段以上に並ぶ目地の一方向が交互になる目地。積み石の場合は馬積み、馬乗り目地ともいう。
裏落とし (うらおとし)
のみを用いず、コヤスケで大きく余分な部分を落とし取ること。
裏込め (うらごめ)
石積み、石貼りの裏側にモルタルを流し込むこと。
裏積み (うらづみ)
石積みなどの裏側に、補強のため小さな石を積むこと。石垣が高い場合に使う。←→表積み
鱗貼り (うろこばり)
舗石貼りの技法の一つ。魚の鱗のように貼ること。浪形ともいう。
雲母 (うんも)
花崗岩、片岩、片麻岩などの主成分鉱物。多くは六角板状結晶で、薄く何枚にもはげる。黒雲母は俗にキララと呼ばれ、花崗岩中にゴマ状に存在する。白雲母は、これを含有する岩石も少なく見分けるのも難しいが、岩石が風化した後は小さな鱗片となって残る。
雲母片岩 (うんもへんがん)
雲母、石英、長石などを主成分とする片理の著しい暗色の結晶片岩。雲母片が平行に並び葉片状構造を成し、石英は粒状または扁桃状をしている。ざくろ石や十字石を含有する様々な変種がある。
● え
江戸切り (えどぎり)
石積みの石面仕上げのよど一方法。淀切りともいう。水平角の上か下の一方を切り欠く。縦の一方や上下ともに淀を取る場合もある。
縁石 (えんせき)
ふち石ども読む。床、花壇などの境界に一列に段差をとって並べた石。
● お
拝み (おがみ)
墓石の水鉢、香立などの前面据わりの部分に刻む意匠。別の意味で、垂直だったものが前に傾斜したときも拝むという。
奥の院形灯籠 (おくのいんがたとうろう)
石灯籠の型の一つ。春日神社奥の院にあるものが本歌。受の上下に蓮弁を刻み、十二支を彫り干支方角に据えるといわれる。春日灯籠の基本型。
納まり (おさまり)
石据えを行った最終時点。安定性、美観などが納まりの良し悪しとして判定される。
押し目地 (おしめじ)
石積みで、合端にトロを押しこみ、目地棒で引いた目地。
落とし (おとし)
左右の石を据えてから、その間に落とすように据える石のこと。
織部形灯籠 (おりべがたとうろう)
基礎のない、竿が生け込み式の灯籠。竿石上部を平面に、左右に丸いふくらみをもたせる。桂離宮にあるものが名品とされている。